Tiệm Nhà An

クロワッサンと紙のように薄いバターの層の物語

冷たいバターを包んだ生地から、ハニカム状の断面まで。クロワッサンができるまでの舞台裏と、おいしい一個の選び方、サクッと温め直すコツ、薪焙煎の烏龍茶との合わせ方をお届けします。

クッキングシートを敷いた天板に置かれた、きつね色でほんのりつやのあるクロワッサン

焼きたてのクロワッサンを半分に割ると、パリッと皮が割れる音がして、パン屑がはらはらと落ち、ふんわりした中身からバターの香りの湯気が立ちのぼります。その瞬間の裏には、生地とバターと温度に向き合う一晩の仕事があります。Nhà An と一緒にベーカリーの舞台裏をのぞいて、この三日月形のパンがなぜこんなに何層にもなるのか、確かめてみませんか。

三日月のパンから「千の層」のパンへ

フランス語でクロワッサンは「三日月」という意味で、おなじみのカーブした形そのままです。祖先はオーストリアの三日月形のパン「キプフェル」だといわれています。19世紀にウィーン風のパン屋さんがパリに登場すると、フランス人はこのパンを少しずつ、今私たちが食べているバターを折り込んだ何層ものパンへと進化させました。こうしたルーツから、クロワッサンやパン・オ・ショコラの仲間は、フランスでは「ヴィエノワズリー」、つまりウィーン風のパンと総称されています。

クロワッサンにはドラマチックな歴史の逸話がたくさんありますが、そのほとんどは確かめようがありません。確実にいえるのは技術のほうです。クロワッサンは「折り込み発酵生地」の仲間で、パンのようにイーストで膨らみ、パイのように層を重ねたパンです。

折り込み:何十層もの秘密

パン職人はこの工程を「折り込み」、フランス語でラミネートと呼びます。まず、小麦粉、イースト、砂糖、塩に牛乳か水を加えてこね、冷やして休ませます。冷たいバターを四角い板状にのばし、手紙を封筒に入れるように生地の真ん中に包み込みます。

次に、生地を長くのばして三つ折りにし、冷やして休ませ、またのばして折ります。三つ折りをするたびに、バターの層は3倍になります。三つ折りを3回行うと、薄い生地の間に約27層のバターが挟まった状態になり、それでも厚みはわずか数センチです。

  • バターは冷たくても、生地と同じくらいの柔らかさで、のびる状態であることが大切です。硬すぎると割れてしまい、柔らかすぎると生地に溶け込んで層がなくなります。
  • 折り込みの合間には、グルテンを落ち着かせてバターを再び固めるために、生地を冷やして休ませます。
  • 折る回数は多ければよいわけではありません。バターの層が薄くなりすぎると途切れてしまい、パンの層がきれいにはがれなくなります。
打ち粉をした台でバターを包んだ生地をのばすパン職人
三つ折りをするたびに、生地の中のバターの層は3倍になります

発酵と焼成:イーストが膨らませ、蒸気が層を押し広げる

折り込んだ生地は細長い三角形に切り分け、底辺から先端に向かって巻き、天板に並べます。最終発酵にはほどよい暖かさの場所が必要です。イーストが働いてガスを出し、パンが膨らむくらいの暖かさで、バターが溶け出さない程度にとどめます。生地がはっきりと大きくなり、両端に層が見え、天板を揺らすとふるふると揺れたら発酵完了です。

オーブンに入れる前に、つややかな黄金色に仕上げるため、薄く溶き卵を塗ります。熱いオーブンの中では、ここで魔法が起こります。バターは約80%が脂肪で、残りのほとんどは水分です。その水分が熱で蒸気になって生地の層を押し広げ、脂肪が層同士のくっつきを防ぎます。こうしてクロワッサンは、イーストで発酵して膨らみ、蒸気でも膨らんで、紙のように薄くサクサクの皮と、ハニカムのような空洞のあるふんわりした中身になります。

小麦粉、バター、そして時間。どれか一つでも欠ければ、パンには層が残りません。

おいしいクロワッサンの選び方と、サクッと温め直すコツ

パン職人でなくても、丁寧に作られたクロワッサンはいくつかの小さなサインで見分けられます。

  • 全体にむらなくきつね色で、巻きの筋がくっきりしていて、両端が黒く焦げていません。
  • 大きさのわりに軽く感じます。中身にたくさん空洞があるためです。
  • 軽く握るとパリッと音がします。皮のかけらが落ちるのは普通のことです。
  • 断面はハニカム状で、薄い層がはっきり分かれています。普通のパンのように詰まっているときは、折り込みや発酵の途中でバターが溶けてしまったサインです。
  • 底はさらっと乾いていて、油でべたつかず、バターの香りがほんのり優しく香ります。

クロワッサンは焼いた当日がいちばんおいしいです。翌日に食べる分は、密閉袋に入れて常温で保存してください。もっと長く保存したいときは冷凍がおすすめです。冷蔵庫に入れるとパンが乾いて硬くなりやすいためです。食べるときは、オーブンで約160~180℃で3~5分、またはノンフライヤーならもう少し短い時間で温めると、皮がまたサクサクに戻ります。電子レンジは手早いものの、パンがふにゃっとして噛み切りにくくなりがちです。

空洞が何層にも重なったクロワッサンの断面
ハニカム状の断面は、バターを均一に折り込めた証です

クロワッサンと薪焙煎の烏龍茶:朝の名コンビ

クロワッサンはバターの風味が豊かでコクがあるので、ひと口ごとに口の中をさっぱりさせてくれる飲み物がぴったりです。熱い薪焙煎の烏龍茶はまさにそんな一杯です。焙煎の香り、はちみつのような甘み、ほんのり漂う木の煙の香りが焼いたバターと溶け合い、お茶のやさしい渋みが後味の脂っぽさを流してくれるので、次のひと口も最初と同じように香り高く味わえます。冷たいものがお好みなら、砂糖少なめのアイス烏龍茶も、サイゴンやダナンの朝日がまぶしい朝にさわやかな選択です。

木のテーブルの上に置かれた、熱い烏龍茶とクロワッサン
薪焙煎の烏龍茶とバターのクロワッサン、軽やかな朝ごはん
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Nhà An のベーカリーは朝5時から火が入ります

Nhà An がオープンしたら、各店舗のオーブンは街がまだ眠っている朝5時から焼き始めます。クロワッサンは小麦粉と発酵バターで作ります。発酵バターは、軽く発酵させた生乳のクリームから作るバターで、深い香りとほのかな酸味があり、烏龍茶の焙煎香とよく合います。パンはその日のうちに焼き上げるので、締め切りに追われて徹夜した人も、仕事の前に早起きして立ち寄る人も、温かいパンに出会えます。

Nhà An のメニューはどれもベジタリアン向けで、パンも例外ではありません。クロワッサンにはバター、牛乳、卵を使っています。ヴィーガンの方向けの卵・乳製品不使用のメニューは、カウンターで別途ご案内しています。グルテン、乳製品、卵にアレルギーのある方は、パンを選ぶ前にスタッフにお知らせください。

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